世界の頂点 青と蒼 冒険の終わり

■ドイツW杯、決勝。イタリア対フランス。

 W杯決勝 イタリア対フランス PK制しイタリア優勝

攻守の切り替えがめまぐるしい、決勝にふさわしい好ゲームだった。後述するが、ジダンとマテラッツィが非常に注目されたゲームだった。色々と思うことが多いので、今回は長くなります。


■開始7分。マテラッツィがファールを取られ、PKに。それをジダンが決めてフランスが先制する。もともとサッカーはそこまで詳しいわけではないのだが、いくつか試合を見るだけでいかにジダンが偉大なプレーヤーかを知ることが出来た。そして現役最後の試合、彼にとってもフランスチームにとっても、フランス国民やファンにとっても大きすぎる意味を持つ決勝。そのジダンのゴールで幕を開ける。

しかしその数分後。イタリアは非常に精密なコーナーキックから、先ほどファールを取られたマテラッツィがヘディングでシュート、ゴールを決める。芸術的といってもいい、綺麗なセットプレーからのゴールだったと思う。

前半が終了し後半になるが、1-1からスコアは動かない。フランスはジダンを中心に絶妙なスペーシングでイタリアゴールに迫るが、イタリアの固い守備陣を抜けることが出来ない。かたやイタリアもボールをとった後から速いボール回しでカウンター。しかしゴールを破れない。試合は延長戦へ突入する(何回も素晴らしいプレーがあって、そのたびに部屋で大声を上げていた)。

延長戦前半、疲労もあって大きな動きはない。もしや、と思う場面もいくつかあったが、やはりスコアは動かないまま、世界一を決める戦いは延長戦後半へ進む。

■延長戦後半、5分。マテラッツィが倒れている。レフェリーが駆け寄り、イタリアチームやベンチが猛抗議をしている。リプレイが再生される。ジダンのマークをしているマテラッツィがジダンのシャツをつかみつつ何事か言う。一言二言の口論。そしてジダンがマテラッツィに対し頭突きを見舞い、マテラッツィは倒れこんだ。ここまでおおむね公正で適当なレフェリングで、スピーディな試合をコントロールしてきた主審がジダンに駆け寄りカードを掲げる。赤だった。


現役最後の試合が世界最高の舞台。しかし。その幕切れは一発退場だった。W杯の横を、目を伏せてピッチから去る稀代の名選手のその背中に、心を揺さぶられた。

マテラッツィに対してもイエローカードが提示される。ここでも公正なジャッジだったのだろうか。いや、確かに公正だったのだろう。オリンピア・シュタディオンが震える。マテラッツィがボールを持つたびに地響きのようなブーイングが巻き起こる。一人減ったフランスは、しかし動きが鈍るどころかさらに鋭さを増していく。それでもイタリアのゴールは割れず、ついに決勝でPKに突入してしまう。

■GKバルテズ、ブフォン。不世出のGK二人が互いを讃えあい、PKが始まる。イタリアの一人目はピルロ。確実に決める。フランスはビルトール、こちらも確実に決める。二人目、イタリア、マテラッツィ。ブーイングのなか、彼は堂々とゴール右隅に決める。フランスのトレセゲ、放ったシュートは鋭くクロスバーに当たって、ゴールからはじかれた。その後イタリアは全員決め、24年ぶりの優勝が決定した。

■今大会、最も注目されたプレーヤーの一人であろうジダン。人格者として知られる彼をあのような行為に走らせたのはなんだったのか。

さて、今大会は監督が重要であることも再認識されたようだ。イタリアのリッピ監督とフランスのドメネク監督、どちらも失敗はなかったが、やはりリッピ監督のほうがシャープな采配をしていたように感じる。



■試合全体を通して、ジダン・マテラッツィの事件までは、非常にエキサイティングな試合だった。その後もエキサイティングではあったが、個人的には後味の悪さを感じてしまう。しかしそれはそれ、結果は結果だ。レフェリーは公正だったし冷静に進行した。イタリアの優勝を称えるべきだろう。しかし非常に個人的な話をさせてもらえば、ジダンに最後まで、プレーを、ラストダンスを、彼いわく「冒険」を、全うしてもらいたかった。少なくとも一生後悔するような試合になって欲しくなかったのだった。
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by birdog_dd | 2006-07-10 06:50 | 熱かったり重かったりする話  

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